ちゃちゃさんの作品

約束の地 〜シド編〜











 「だあ〜〜〜〜〜っ!!! てめえっ!!!
  あれほど注意しろって言ったろうがっ!!!」

 「ご、ごめんなさいっっ!!」


首をすくめるシエラの姿に、オレはよけいにイラついたが、
そこをぐっとこらえようと・・・・。

 ―――――――ダメだ。 こらえきれねえ。


 「だいたいがなあ! 
  気がきかねえおまえが、なんでやらなくていいことだけはやるんでい!!!」

 「だって・・・・艇長の模型が・・・・」

 「艇長じゃねえっ!!
  おまえ、何か? オレ様と所帯をもったのが、ほんとは気にいらねえのかっ?!」

 「そ、そんな・・・・・・・・」


・・・・あー。 いけねえ。
泣かせてどうするよ・・・・ますます悪いじゃねーか・・・・。

・・・・・・・・腹の子に、よ。



 「・・・・いいか、今度やったらもう、てめえとはそれっきりだ!!」

 「は、はい! 気をつけますからっ!!」

 「・・・・・それから、『艇長』もだ。ぜってえそう呼ぶな!」

 「・・・・はい、・・・・あなた・・・・」


・・・・うっ。
そうあらためて呼ばれると、照れるんだが・・・・・・・・。

だけどなあ、腹にガキがいるのに、テーブルの上に椅子のっけてその上に乗るか?!
たかが、おもちゃの飛行機のために、よ。



オレは天井からぶらさがっている大量の模型飛行機を睨んだ。
ここ一年、オレがヒマを見つけてはつくったやつの集大成だ。


 「こいつは・・・・とっちまうか。 いいかげん見飽きたしな」

 「ええええっ!!? ダメですっ!!」

 「なんでえ。 おまえ、気に入ってんのか、これ」

 「だって・・・・て、あなたのお好きなものは、わたしも好きですから・・・・」


 ・・・・・・・・まあ、そう言ってくれるのは、うれしいんだがよ・・・・。


本音を言えば、オレのことをこんなに想ってくれる女なんて
この星の果てまでどころか宇宙の果ての果てまで探したっていやしねーだろう、と思っちゃいる。

・・・・だけど。

だから、よ。

おまえはもっと、自分を大事にしなきゃ、いけねーはずなんだよ。


 「・・・・とにかく、おまえは腹の子のことだけ考えてろ・・・・」

 「・・・・はい!」



そうこたえたシエラは、ひどく幸せそうに自分の腹を撫でた。













オレとシエラが所帯をもったのは、メテオ事件の後、オレが村に戻ってきてすぐ、だった。

きちんと所帯をもとう、って言った時のシエラの顔。

信じられねえ、っていう、あの顔。


あの顔みた時、オレは本当に自分が情けなかった。

なぜかって?

・・・・オレとシエラはその前から・・・・だいぶ前から事実上は夫婦だったんだから、よ。
でもシエラのやつはそうは思ってなかったのかと。

オレはなんとなくやりきれねえ気分で。

そういや、一度も約束みてえなことは言ったことがなかった、と気づいた。
なんのことはねえ、要求されなかったから、そういう言葉を言ったことがなかったわけさ、オレ様は。


・・・・こいつはそういう女なんだよな。

バカっていえばバカなんだが、
不器用で、どうしようもなく損ばかりする女なんだよ。


・・・・だいたいが。

オレに惚れたってあたりでおつりがくるくらい損してやがるわけだ。


・・・・オレはたしかにこいつを・・・・その、こいつに惚れてるんだが。

あの、大空洞で、セフィロスを前にして、
オレは自分に言い聞かせたもんだ。

こんなところで死ねねえ、帰るんだ、帰るところがあるんだ、ってな。

こいつのところに戻ってくるんだって思いだけが、オレを支えていた。



なのになあ、言えねーんだよな、そういうことは。

まあ、しょーがねえ。
オレたちはしょせん、そういうとりあわせの夫婦なのさ。

それでもガキができたとこみると、
お天道様に見放されてるってーわけでもなさそうだ。

あとは無事にガキが生まれりゃ、このたよりねえ女もしっかりするだろ。

・・・・・・・・オレ様も、だけどな。











続く