ちゃちゃさんの作品

約束の地 〜ユフィ編〜


   1


  『
  ユフィ、元気にしてる?
    ウータイもだいぶたいへんだったそうだけど、
    復興はどれくらい進んだのかしら?

    ミッドガルは、おおかた瓦礫の山になってしまいました。
    今、私達は、ミッドガルの近くで
    廃材を使ってつくったバラックに住んでいます。

    カームまでひきあげた人も多いけど、
    バレットたちはここに新しい村をつくりたいみたい。
    ミッドガルの廃虚の見えるところにね。
    リーヴは、あれはずっとあそこに残しておくべきだっていうの。
    もう二度と、星を傷つけてまで
    歪んだ文明をつくりだすことのないように。
    子供達にかたり伝えていきたいって。

    クラウドも元気よ。
    モンスターと戦ってた時より、
    廃材かついで大工さんしている彼のほうが
    たくましく見える感じ。

    いつか遊びにきてね。、、、ひどいところだけど。
   
                          ティファ   』



 ちぇーーーー。なんだよ、コレ。のろけで終わってら。
 たまに手紙くれたと思ったらさ。
 まぁ、ティファらしいや。
 、、、、クラウド、か。
 へんなやつだったよなー。
 ちょっとかっこうよくって、見た目は悪くなかったけど、
 暗いし、、ニブイしさ。

 、、、、、、うん、まあ、きらいじゃなかった。
 いや、まあ、ちょっと好きだったかな?
 幸せそうで、、、、よかったよ。マジでさ。


 読み終わった手紙をたたんでポケットにしまった時、
 チュンが勢いよく部屋のなかに走り込んできた。

  「ユフィねえーーちゃあーーん!!しゅぎょー、しゅぎょー!!」

  「おし! じゃあ、はしるぞー!
   ダチャオ像往復アップダウンコースだ!!」

  「えええーーー!? またああ?? イヤだよう。
   ねーねー、ワザおしえてよーーー。
   ”しんらばんしょう”!!!!」

  「なあに いってんだ! あほう! 10年早いっての!!」

 チュンはまだ6才。隣の小屋に父親と住んでいる。
 、、、、例のメテオ事件で、ウータイもけっこう被害にあった。
 この子の母親も、、、、今はもういない。

  「ねー、ねー、ユフィーねーちゃーーん。、、、ちょっと」

  「ん?」

  「かがんでよーー。ないしょのはなし、、」

 あまえたいんだなあ、、、こいつ。

 、、、、、ぎゃあ!!!!

  「てめえ!! どこさわってんだ! このクソガキ!!」

  「キャハハハハハ。ユフィねえちゃん、ボインーーーー」

 ったく、、、、、。近ごろのガキは。



 チュンの他にも、親が面倒みられないガキは何人もいる。
 なんか、そいつらを集めて世話するのが、
 アタシの仕事みたいになっちゃった。

 でも、ちゃんとした修行もしたいから、
 午前中はガキのお守、午後は道場で修行、ってふうにしてる。

 これが、今の アタシの毎日。

 今日も昼までガキどものメンドーを見て、
 ようやく昼メシの時間になったところで、
 大事なことを思い出した。

 今日は、、、、、、、6日だった。


   2


 ウータイの墓地は、村の外、
 小高い岡の上にある。

 アタシの母さんのお墓は、その中でも見晴しのいい、
 角地に立っている。

 今日、6日は、母さんの月命日なんだ、、、、。

 お墓を掃除して、花をそえ
 いろいろの報告。

  (母さん、みんな元気だよ。
   オヤジはメテオの前より元気みたいだし。
   笑っちゃうだろ?
   みんなぶっこわれちまったのにさあ。
   そうしてみると、逆にまたイバリちらす元気が
   でてきたみたい。
   毎日仲良くケンカしてるよ。
   もう、アタシの方がワザは上だからね、
   ちゃんと時々負けてやってるんだ。、、エライだろ?、、、)

 毎月、報告することはたいしてかわりゃしないんだけど。
 いちおう毎月、アタシはこうやってこの墓地にくるんだ。

 、、、、母さんと、そしてあいつと話すために。




 アタシは立ち上がって、少し丘をくだっていった。

 他の墓から離れてひっそりと
 あいつの墓が
 そこにあるから。


 もうずっと遠い、かすかな記憶の中にしか住んでいない、
 あいつの墓。



   3



 アタシはまだ6つだった。
 そう、今のチュンと同じ歳だったんだな。
 あいつは、、、、、、あいつもまだ15くらいだったんじゃないかな、
 あのころはずっと大人にみえたけど。
 近所に住んでいて、良く遊んでくれて、って以外、
 あんまり詳しいことは知らなかったから、
 正確なところはわからない。

  「ユフィ、今日はね、ちょっとさみしい知らせがあるんだ、、、。
   あしたからはしばらく、ユフィとは会えなくなっちゃうんだよ」

  「にいちゃん、どこいくの?」

  「にいちゃんにもどこかはわからないんだ。
   抵抗組織は一番有利なポイントを選んで工作するからね。

  「てーこーそしき?」

  「ははは。ユフィにはまだむずかしいね、、、。おいで」

 あいつは、アタシを肩の上にのせて、ダチャオ像に登っていった。

 ダチャオの手のひらの上から見た景色が
 すごくきれいだったのは、今もはっきり覚えている。

  「みえるかい?ユフィ。 世界は広いだろ?」

  「うん! でっかいねーーー」

  「この世界を、自分たちの私欲のためにぎゅうじろうとしている
   悪い人たちがいるんだよ。
   、、、、弱い人たちから搾取してね」

  「さくしゅーーーー?」

  「あー、なにも悪いことしてないひとたちからね
   むりにいろんなものをとりあげることだよ」

  「ふーーん」

  「にいちゃんたちは戦わなきゃならない」

  「せんそうは終わったんだよ? にいちゃんしらないの?
   とうちゃんがいってた」

  「いや、、、ユフィ。 本当はね、終わっていないんだ。
   このままじゃ、ウータイは、、、ウータイじゃなくなる。
   わかるかい?
   にいちゃんは、ぜったいにウータイを守りたいんだ」

  「、、、わかんない、、、。
   いっちゃ、、、やだよう、、」

 あいつの話の内容なんてさっぱりわかんなかった。
 
 だけど、あいつが、、、、もう帰ってこないんじゃないか、
 ということだけは、その時のアタシにも
 、、、、、なんとなく感じられた。

 だから、アタシはその後泣き出して、、、、

 あいつはアタシをなだめようと、何度も
 「ごめんね」って言ってた。

  『ごめんね、ごめんね、ごめんね、、、、、、、、、、、』

  

   4


 それが、記憶にある、あいつの最後の言葉。

 
 なあ、アタシ、がんばったろ?

 ちょっとボロくなったけど、あれはウータイだよね?

 神羅の下にいた時より、ずっとずっと、本物の、
 ウータイ、だよね?


 、、、ほんとは恐かったんだぞ、、、、。
 クラウドたちは、いい奴らだと思ったけど、
 アタシにとっては全然しらない奴らだったし。
 敵はアタシが思ってたより、全然すごい化け物だったんだから。
 神羅どころじゃなかったんだからな。

 
 でも、アタシは、ウータイを守りたかった。

 あの6歳の時はわかんなかったけど、
 アタシはあの後、もういないあんたに約束したんだ。
 あんたの言葉の意味が理解できた時に。

 あたいは ぜったい ウータイを守る

 って。

 そのためには、ちょっとくらいの無理もする。
 がんばって戦う、って。


 、、、、、守っただろ? アタシは。 約束通り。



 ふと顔をあげると、もうすっかり日がかたむいていた。

 大きな夕日が、海をバックに、ウータイの村を
 茜色に染め上げていく、、、、、、、。


 アタシが守ると約束した場所。


 ちっぽけなボロい村だけど。
 たくさんのものを失ったりもしたけど。


 それでも胸をはって、アタシはいえる。


 アタシにとって
 今のウータイこそが
 世界でいちばんすばらしい場所だと。





                            fin